2022年 02月 21日
楳図かずお大美術展へ
2022年 02月 18日
売れる写真とは
2022年 02月 16日
海までドライブ
すこし考え事をするのにひとりで海までドライブ。 東京にも海があるのだ。
2022年 02月 02日
ヴューイング・ルームが完成
gallery bauhausの2階にヴューイング・ルームが完成しました。この部屋は過去の展覧会の作品を、再度購入したいという方の要望にお応えするかたちで誕生しました。
完全予約制で作家が直接作品をお見せしながら販売するプライベート・ヴューイング形式です。当初は小瀧達郎の作品を中心に展開しますが、ゆくゆくは他の写真家の作品の頒布会や、写真関係のワークショップなども開く予定です。
ビューイング・ルームの向かいの部屋は和の機能美を取り入れた畳敷きとなっていて、写真を並べての編集作業やイベント開催時には畳の上でくつろいだ雰囲気で過ごして頂けます。
エントランスの現代人形作家の展示。
2021年 12月 17日
カラー写真展のつくり方
今回の写真展「WIEN-旅の憂鬱」は全作品カラーという初の試みで、お客さんから「小瀧さんもついにデジタルにシフトですか?」という声が少なからず聞こえてきます。普段あれほどモノクローム銀塩写真に拘っていた小瀧がデジタルか~、みたいな声に対して少し誤解を解いておきたいと思います。
過去に私はカラー写真の展覧会も数多くやってきましたが、デジタル写真が出現してから写真界も大きな変化を遂げました。いまは写真といえばデジタルが当たり前で、フィルムを使う銀塩写真は少数派となってしまいました。
フィルムとデジタルを使い分けている写真家も存在しますが、どちらかといえばデジタルはお仕事写真、作家活動は銀塩写真というスタンスが多い気がします。
ギャラリー・ワークが中心の写真家はモノクロームしか撮らないという人もいますが、私の場合はカラーでの作品作りも実は大好きです。
ただ自分でギャラリーを始めてからずっと感じ続けてきたのが、カラー・プリントの作品としての存在感の薄さです。
具体的に言うとまずカラー写真用印画紙への不満があって、チープな感じのRCペーパーしか選択肢がないことです。
一時は自身の暗室でカラー・プリントも試みましたが、なかなか思うようなクオリティが出せなくて、結局ラボを頼らざるを得ない状況でした。ただ何度ダメ出しをして焼き直しても、自身でやるモノクロプリントのように痒いところに手が届かない。これは結構なストレスになります。
そして最も大きな問題は、仕上がった写真を額装して壁にかけたとき、日々眺めるに足るものになるかどうかということでした。
作品の善し悪しは言うまでもありませんが、カラー作品はモノクロと違って色彩があることで、日常の自分の気持ちとのぶつかり合いが生じて、時に鬱陶しさや煩さを感じることがあるからです。それゆえ制作過程では作品の色使いから感材まで、モノクローム写真より複合的な要素がたくさん絡んできます。
大雑把に言うと、このような要素がカラー作品作りのひとつのハードルになっていました。
私の場合、何点かは長く部屋の壁にかけてもしっくりくるカラー作品もありますが、それでもモノクローム写真に比べると圧倒的に数が少ないと思います。それだけカラーでの作品作りは難しいということが言えます。
今回の展覧会「WIEN-旅の憂鬱」はコダクローム・フィルムで撮影したものをEPSONのスキャナーでスキャンして、EPSONのプリンター“PX1VL”を使ってピクトリコの“ソフトグロス・ぺーパー”に自身でプリントしました。
スキャナーは当初“GT-X980”を使ったのですが、フィルム・ホルダーの使い勝手がいまひとつ良くなくて、後半はNIKONのフィルム・デジタイズ・アダプターES-2をデジタル・カメラに付けて、ライトボックスの上でフィルムを複写する方法をとりました。
準備段階ではラボに頼んで昔ながらのカラー・プリント(タイプCプリント)もテストしたのですが、時代がデジタル化したせいもあってとても満足のいく仕上がりにはなりませんでした。
残る選択肢はデジタル・プリントしかないのですが、ここで決定打となったのが、ピクトリコの“ソフトグロス・ペーパー”との出会いでした。
デジタル・ペーパーは国産、海外製品含め市販のものを数種類テストしましたが、私にとってベストな紙は“ソフトグロス・ペーパー”ひとつだけでした。
プリントを始めた当初は、プリンターと用紙との設定がうまくいかず、汚れや擦り傷が出て苦労しましたが、ピクトリコのスタッフの方に“ソフトグロス・ペーパー”用のプロファイルを作ってもらって思うような仕上がりを得ることができました。このプロファイルは現在ピクトリコのHPからダウンロード可能です。
展示写真は1986年、2000年の写真はコダクローム、2020年はデジタル・カメラで撮影しています。今回の作品作りで、デジタル・プリントでのカラー表現のひとつの方向性が示せたのではと自負していますが、何よりも自分の中でカラー作品作りの長年の霧が晴れた気がしています。
モノクローム写真に関しては、今まで通りフィルムで撮影して、暗室でプリントする方法を続けます。言うまでもありませんが、モノクロームの銀塩写真の世界には何物にも代えがたい揺るぎない世界観があるからです。
*2021年12月18日(土)gallery bauhausで開催のギャラリー・トークでは以上のような話をもう少し掘り下げてお話しさせていただきます。
後半はウイーンに7年半暮らした田中長徳さんの生活者としてのウイーンの楽しい話も聞かせてもらいます。
お時間がございましたらぜひいらしてください。