2023年 03月 29日
パリの写真展
2015~2018年にかけて撮影したパリの写真が手つかずの状態で残っています。
2013年にgallery bauhausで「PARIS 光の廻廊」という写真展をしましたが、早いものであれから今年で10年目。10年というのもひとつの節目ではあるので、二度目のパリの写真展を年末に開催しようと計画しています。
撮ったばかりで頭が過熱状態のときはなかなか写真を選べないのですが、ほどよく時間が過ぎてクール・ダウンするとセレクトがしやすくなります。5年~8年という時間の推移は、世の中の事物同様に自分の心にも変化が生じ、写真を選ぶ眼にも新しい発見があります。それをプリントする際どのように解釈して仕上げていくかといったプロセスも一枚の写真をつくる上で大事な要素になります。
時間を加味して熟成した写真が、ウイスキーのように味わい深いものになると良いな~、と思っています。
2023年 02月 15日
谷川俊太郎写真展
3/1からgallerybauhausで始まる谷川俊太郎写真展「lost&found」のプリント作業が今週は佳境に入っています。印画紙は20年ほど前に買って冷凍保存してあったフランス製”ベルゲール”の定評のあった第一世代。
人のネガをプリントするのは初めての経験ですが、今回自らプリントを買って出た一因は、谷川さんの写真の随所にシンパシーを感じる(勝手にですが)ところがあって、これなら上手くプリントできそうだと思ったことです。モノクローム写真は、プリントする人によって表現の振幅度が著しく広がります。撮影時に谷川さんが意図したものと、私のプリントのクオリティーがどれくらい近いのか、あるいは全く見当違いに離れているのか、その違いを確かめるのも今回の展覧会の楽しみでもあります。
(写真上)現像、水洗が終わったプリントはドライヤーでラフに乾燥してから、ブロッテイング・ペーパー(吸水紙)に挟んで重しをして一晩乾燥させます。その後、ドライマウント・プレス機でフラットニング、最後にスポッティングをして完成します。
2023年 02月 09日
佐伯祐三とパリ
東京ステーションギャラリーの佐伯祐三展に行ってきた。佐伯はボクが一番好きな画家だが、海外に散逸していると思っていた作品が、国内にこれだけあることは少なからず驚きだった。
パリを撮っていた80年代に『アサヒグラフ』の編集部の人が、ボクの写真を評して”写真界の佐伯祐三”と言ってくれたことがあって、お世辞半分としても内心とてもうれしかった。理由を推測するに、当時コダクロームというカラー・フィルムを常用していたボクの写真の色調が、佐伯祐三を彷彿とさせたからではないかと思う。
意識してそうしていた訳ではないのだが、ISO64(フィルム感度)のコダクロームを3分の2段落として使うと、まさしく佐伯祐三の色調になるのだ。
30歳という若さで結核で急逝した佐伯だが、これだけの仕事を後世に残してくれたことに感謝したい気持ちと、アーティストの存在意義の大きさを強く感じさせてくれた展覧会だった。絶対観るべきすばらしい展覧会、お勧めです!
2022年 10月 07日