小瀧達郎気紛れ日記


by tatsuokotaki

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失われた時間ーパリー    2005年3月30日(水)

森山大道氏の『犬の記憶』(河出文庫)の中の“パリ”の話を読み返していて、思わず自分のパリ体験を重ねてしまった。森山氏が私設ギャラリーの開設を思いたってパリに居をかまえたのは1988年。ぼくのパリ初体験は少し遡る1979年の春の事だった。30歳の誕生日をわずかに過ぎた、年齢的には“遅れてきたパリ体験”だったかもしれない。
当時親しかった写真家のH氏がしばらくパリに住むことになって、彼をたずねるかたちでそれは実現した。それまで、結構日本に拘ってきた30歳の写真家(ぼくのこと)がパリで受けたカルチャー・ショックはそれ相当に大きなものだった。
森山氏がギャラリー開設に苦戦したように、フランス人社会は、ふらりとやって来た外国人に対して決して容易くなかった。僕自身のパリ生活も多分にほろ苦く、楽しみより苦渋の日々の方が多かったような気がする。そんな中で、ぼくの最初の写真集『巴里の大道芸人』(求龍堂)は生まれた。

パリを訪れたエトランジェたちがパリを去る前に一度は このモンマルトルの丘からパリの町を眺める。 ―中略― この町に生まれなかったのを悔やむような羨望の気持で眺め続ける。 そして、いろいろあったけれど、…やはりパリに「ありがとう」と心で告げる。
亡くなった堀内誠一氏の著書『パリからの旅』より。
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by tatsuokotaki | 2005-03-31 00:09

山本鼎と農民美術         2005年3月11日(金)

昨日は群馬県松井田町で、自生の福寿草を撮影して小諸の中棚荘に泊まった。季節外なので林檎風呂ではなかったが、いつものように星を眺めながら入る露天風呂は最高に気持ちが良かった。
11時に中棚荘を出て、懐古園前にある“べにや民芸店”の二階でコーヒーを飲む。顔見知りのご主人としばらく世間話をしたあと、地元の陶芸家の作品を数点購入。
その後、久しぶりに上田へ行ってみることに。小諸は新幹線が止まらなかったせいか寂れる一方と、“べにや民芸店”のご主人が嘆いていたが、上田は別所温泉への中継地ということもあり、そこそこ活気がある。刀屋で天ざるそばで昼食。おそばの量が多く(たぶん神田やぶそばの5~6倍はある)びっくりする。味は極めて普通。上田から別所温泉は、25年前に『銀花』という雑誌の撮影で来たことがあって、その時取材したアライ工芸を訪ねてみた。上田は画家の山本鼎が、大正末にフランス留学帰りにロシアで見た農民美術を農閑期のお百姓さんたちに広めようと、農民美術運動を興した場所でもある。アライ工芸の二階には、農民美術の後継者の一人であった荒井貞雄氏の1920年代からの作品が残っていて、改めて見せていただいた。白樺や朴を素材にした木彫りの作品は、ロシアと日本が融合したなかなか魅力的なものばかり。ピノキオの顔をモチーフにした帽子掛けや魚の図案の木製の電気の傘など、日常使えるものが多い。残念ながら現在作られているものは僅か数点しかなく、ぼくが気に入って20年以上も使っている鳩の砂糖壷の作者、春原要(スノハラカナメ)氏も数日前亡くなったとか。アライ工芸にあった春原作品を数点譲ってもらう。
せっかくなので市内にある山本鼎記念館をひとまわりして、元呉服店の民家を改造したというコーヒー屋さん“森文”へ行く。
声を掛けても誰も出てこないので、勝手に座敷にあがってCDを次々とかけまくって待つこと30分。近くの酒屋のご主人が心配して大声で奥に声をかけてくれた。
しばらくして若い店主がねぼけた顔をして出てきた。寝てたみたい…。
入れてくれたコーヒーはとてもおいしかった。
通りに出たらお隣も民家を改装した何やらおいしそうな」パン屋さんなので入ってみた。東京にも店がある“ルヴァン”という天然酵母パンの支店とか。焼きたてのパンをかじりながら東京に向けて車を走らせた。
by tatsuokotaki | 2005-03-15 03:17

 駐車違反         2005年3月9日(水)

夕方、銀座のHMV前で久しぶりに熊本の友人のOさんと待ち合わせ。人形町の来福亭で食事する。人形町には日本家屋で昔ながらの洋食を食べさせる有名店があるが、味は来福亭の方が遥かにウマイ。
こちらは小さな店なので、テレビで紹介されて常連さんに迷惑をかけてはと、一切マスコミに登場しない。今どきめずらしく節操のある店なのだ。
ポタージュ・スープ、コロッケ、エビフライ、オムライスと何をとっても美味しいが、ここのキャベツの千切りは天下一品だ。何でもコツはキャベツの繊維にそって、刻む方向があるそうだ。
久しぶりにOさんとお会いして話が長くなり、お腹も一杯で店の近くに停めておいた車に戻ったら、何とドアミラーにしっかりと駐車違反のタグが。大きな声ではいえないが、交通違反の点数が現在8点(スピード違反2回に駐車違反1回)。それが今月の25日で消えるはずだった。一年間違反も無く実に模範的な運転をしてきたというのに。
刑期を終えて出所をひかえた囚人が、間際になって「アナタもう一年ね」と言い渡されたらこんな気分だろうか。でも違反をしたぼくが間違いなく悪い。
水天宮下の交番に行ったら、おまわりさんが実に低姿勢で「このあたりは最近事件が少なくて暇なもんで」とさかんに言い訳され、こちらのほうが恐縮してしまった。
まあ神様が「もう一年違反をせず、安全運転をしなさい」ということでしょう。でも人形町は駐車場が少ないんだよな―。
by tatsuokotaki | 2005-03-15 01:11

山谷の「カフェ・バッハ」       2005年3月6日(日)

昨夜は徹夜で仕事をしたので、朝10時にベッドに入って午後3時に起床。御茶ノ水の丸善で文具など買物してから、雑誌で見た山谷の「カフェ・バッハ」へ行ってみた。浅草で信号待ちをしながら神谷バーの建物の丸窓の明かりが美しいなーと思った。
浅草界隈はぼくのテリトリーだが「カフェ・バッハ」は知らなかった。昔は新宿の「青蛾」や「風月堂」、神保町の「きゃんどる」「李白」(こちらは健在)、本郷の「ルオー」など好きなカフェがあったが、次々と姿を消してしまった。東京にも京都の「イノダコーヒ」のような店があったらいいなと思う。
「イノダコーヒ」はまさにヨーロッパのカフェを思わせる店で、朝早く行くと近所のダンナ衆が新聞を読みながら、仕事前の一杯のコーヒーを楽しんでいる。観光客も来るが、地元の人達の生活にしっかり根付いているところが好きだ。
「カフェ・バッハ」はフレンチ・レストランのシェフ、アラン・デュカス氏がお気に入りとか。混んでいたのでコーヒーを一杯飲んで、豆を2種類ほど買って店を出た。
東京駅八重洲口地下の「日山」でステーキ用の肉とハム、PAULでパンを買って神田駿河台下のレンタルCD屋さんで綾小路きみまろ『交通安全漫談』のCDを借りた。
去年アメリカに仕事に行った際、高速道路で事故渋滞に遭遇しスタッフ全員クサリきっていた時、同行のk氏がおもむろに取り出したのが綾小路きみまろの漫談CDだった。その時、こんなCDが出ているのかと驚いたが何とベスト・セラーで、きみまろ氏は山梨に御殿のような家が建ったそうだ。昨今のお笑いブームは、暗い世相を反映しているのかもしれないが、笑って一時いやなことを忘れるのも一案かもしれない。
レジに行く際ちょっとハズカシかったので、Joni MitcellのCDに挟んで借りた。
by tatsuokotaki | 2005-03-07 04:56

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