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 奥多摩へ           2006年6月24日(土)

気分的に少し煮つまってしまったので、東京を脱出した。奥多摩の小河内ダムの山の上にある“奥多摩館”へ泊まりに来た。
老夫婦が二人きりでやっている旅館で、まるで田舎のおじいちゃんとおばあちゃんの家に泊まりに行ったような温かい雰囲気だ。
泊り客はぼくひとり。泊り客がぼくひとりだったので小さい方のお風呂に入ったら、窓の外でおばあちゃんが薪をガンガン燃してくれて、「熱かったらどんどん水でうめてくださいよー」と声がした。夕食の味付けがみんな甘かったけれど、まあ仕方ないか。2階のぼくの部屋の窓から、暮れなずむの奥多摩湖が一望できた。食後、寝転がって本を読んでいたら石元泰博氏から電話があった。ちょうど昨夜、日本カメラMOOK『写真 いま、ここに 写真年鑑2006』の石元夫妻のロング・インタビューの記事を読んだばかりだった。「ワイフがいなくなっちゃったんでさびしくて…」と石元先生。日本カメラの特集は、生い立ちからシカゴ時代、そして今日に至るまで、ぼくもいつか聞いておかなければという内容が網羅されていて、読みごたえのあるものだった。
東京をはなれるとなぜか時間がゆっくりと流れる気がする(正確にはここも東京だが)。持ってきた本を2冊読んでしまったので、寝ようとしたら蚊取り線香が消えていた。ライターを借りに階下におりていったら、テレビが大きな音でついていて、その前で老夫婦がテーブルをはさんでタテとヨコに大の字になっていて、黒澤明の「天国と地獄」の一シーンを思い出して一瞬ギョッ!とした。
おばあちゃんが「えらいとこ見せちゃって」と恐縮していた。眠りを妨げてしまって悪かったが、何というか平和で─とてもよい光景だった。

 奥多摩へ           2006年6月24日(土)_b0011771_3315127.jpg
                 お風呂の煙突ごしに奥多摩湖が見えた

by tatsuokotaki | 2006-06-24 23:56 | Trackback | Comments(0)

小瀧達郎気紛れ日記

by tatsuokotaki
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